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平成19年度生態観察会レポート

平成19年6月23日午後、鮎原下生態観察会が実施されました。

午後1時過ぎには集落内よりたくさんの人たちが集まってくださいました。 鮎原下子供会のみなさん、父兄のみなさん、花づくりグループのみなさん、民生児童委員さん、また松久保先生がこられるということで地元鮎原小学校の生徒達と一緒に応援にかけつけてくれた教諭の方々、とにかくこちらが予想したよりもたくさんの方々が集まってくださいました。集会所(鮎原下安心コミュニティプラザ)の大広間はとたんに一杯になってしまいました。

大広間には、当日の雰囲気をもりあげるため、「生き物観察会」の横断幕や「ようこそ松久保晃作先生!」のたれ幕も前日に用意しました。模造紙にマジックで手書き文字、手作り感覚満天です。  また集落の子供たちに、できるだけ地元の農業資源に興味を持ってもらおうと「下地区のため池いくつある?」と題した白地図に下集落内のため池を色塗りした掲示物を用意しました。さらに農村環境整備センターの「田んぼの生き物調査」の子供向けマニュアルなどを印刷し掲示しました。

当日のプレゼンテーション資料は松久保先生が用意してくださいました。淡路島内で撮影された貴重な写真を中心にたくさんの写真をお見せくださいました。プレゼンテーションはWindowsXP標準のスライドショーを使い先生自らオペレーションしながらお話してくださいました。

定刻の午後1時半過ぎにはレクチャーがスタート。本日の進行役は鮎原下子供会役員の小林さんです。小学校の教諭をされている小林さんは3児の母で現在育児休暇中、忙しい子育ての合間に今回の観察会の準備にもかけつけてくださいました。

保全隊の木田一也(きだかずや)代表の挨拶のあと、いよいよ松久保先生のレクチャーがはじまりました。  海外取材時の興味深いエピソードなどを交えながら、里山でみられる爬虫両生類について写真を見ながら丁寧にご説明くださいました。淡路島には貴重な生物などいないなどと考えがちですが、実は夜行性の生き物が多く、みんなが眠っている間に活動していることなど、生き物の生態についてもお伝えくださいました。ただ昔はたくさんいた生き物が減少していることは確かで、希少生物に目をむけ保存していくことはやはり必要なようです。  レクチャーの後、松久保先生より、こんな意見がありました、「みんなおとなしいな。どうしたんだろう?」子供たちはこんなレクチャーに慣れていないのだろうか?きっと小学校の総合学習の時間では、気心が知れた先生方のサポートもあってもっと元気に質問がでるのかもしれない。今回は集会所でのお勉強ということでいつもとちがう雰囲気にとまどっていたのかも知れません。

大人の方々の反応も気になるところでしたが、松久保先生は随所に大人でも興味をひくような話題を織り交ぜてお話くださり、あちこちで感嘆のため息が聞こえていた。例えば「イモリとヤモリの違いをご存知ですか?ヤモリは屋敷を守るもの、イモリは井戸を守るもの」等など....知っているようで知らない知識の数々、たまにはこうして子供たちと勉強するのもいいものですね

定刻どおり約1時間あまりのレクチャーの後、みんなで記念撮影。

いよいよフィールドに出て調査をはじめました。当日までに数回の下見と、当日先生といっしょに下見をしてコースを決定しました。  集落中央部の農道を通り、集落ただひとつの河川をわたり、程なく井堰の水路も見ることができます。農道の両サイドには田植えが終わったばかりの水田が続きます。

その後集落の民家がかたまった場所を通り、山裾にむけて坂道を上がっていきます。

この日の見学予定のため池は2箇所、ひとつは山裾の民家のすぐ下にありますが、池の透明度も高く、池の堤もしっかりしていて子供たちの安全面の配慮から、先生にぜひここでお願いしますと強引にお願いしました。

この池では希少生物こそいなかったものの、オタマジャクシやカエル、イシガメなどを見つけて子供たちは喜んでいました。この頃にはレクチャーの緊張もすっかり解け、網やバケツ・双眼鏡を片手に走り回っていました。池の水面をみつめる大人の方々の目もいくぶん輝いているように見えました。  もうひとつの池はもう少し山間にはいりますが、田んぼの畦伝いに移動することができます。前もって池の所有者に見学の了解を得たところ、観察会当日にはあぜ道の草まできれいに刈ってくださいました。あらためて集落住民の方々のご協力に感謝いたします。

さて、あぜ道で松久保先生が声をあげました。なにか小動物が掘ったような穴をみつけ、「亀が産卵したのだろうか?モグラの穴かな?」ということで園芸用の移植鏝で掘ってみることにしました。残念ながらモグラの穴のようでしたが生態観察はすべての場面で好奇心を忘れないことが大事だよと、先生は伝えようとしてくださったのかも知れません。

程なく2つ目の池に到着、この池は水量は少ないけど、上部にはもう民家がなく、雑木林や竹林がすぐそこまで迫っている。カスミサンショウウオの成育にぴったりかもしれないと選択しました。水溜りのように水が残っているだけなので池のお鉢の中にみんながはいって観察できるのも面白い。  この池でも残念ながら希少動物は発見できなかったが、子供たちは今度こそ、めずらしい生き物をさがしてやろうとゴソゴソ池の中をかき回しはじめた。ゴソゴソ、ガサゴソ、小さな池で魚とり網が動き回ります。ヤゴはたくさんいるけどカスミサンショウウオの卵は.....

その後、行きの行程と同じコースを戻り、集会所に引き返しました。水分補給のあと、子供会を代表して5年生の高田龍生君が松久保先生にお礼の言葉を述べてくれました。「遠いところから来てくださり、貴重なお話をありがとうございます。」と元気のよいごあいさつ。心のこもったお礼の言葉に先生も感激されていたようです。

貴重な2時間はあっという間に過ぎていきました。なかなか書きつくせませんが生態観察会は無事終了いたしました。

平成19年度生態観察会のお知らせ

テーマ:里山で見られる爬虫両生類について
レクチャーと現地観察会

日時 6月23日(土曜日)午後1時半から3時半
平成19年度観察会は終了いたしました。たくさんの方のご参加ありがとうございました。
場所 鮎原下安心コミュニティプラザ
内容 里山で見られる爬虫両生類についてレクチャーと現地観察会
講師 松久保晃作先生(生物写真家)

 下集落の皆様方、田植えは終わりましたか?まだまだ忙しい日々は続きますが、気分転換に土曜日の午後、子供達といっしょに生き物の勉強をしてみませんか。

昨今生態系の崩壊がさけばれていますがもう一度身近な里山の生き物について考えてみませんか。 当日は生物関連の著書をたくさん出版されておられる淡路島出身の先生がわざわざ沖縄県からきてくださいます。 ぜひ皆様のお越しをお待ちしております。なお集会所でのお話と外に出ての観察会を予定しておりますので軽装でおこしください。

講師紹介 松久保晃作(まつくぼ こうさく)
1961年、兵庫県洲本市生まれ。少年時代を淡路島の海・山・川で暮らす。
東京農業大学農学部卒業。出版社勤務を経て、フリーランスの生物写真家。
国内外を取材し、海洋生物や、爬虫類、両生類など小動物の世界を、雑誌を中心に紹介し続けている。
著書に『飼ってみよう!海べの生物』(小学館)、『イシガメの里』(小峰書店)などがある。
自然環境研究所(NSI)研究員。沖縄在住。

主催・後援
鮎原下子供会・鮎原下町内会・鮎原下農地水環境保全隊

配布用案内文書はこちらです(子供向けPDF集落向けPDF

※この活動は、鮎原下農地水環境保全隊の農村環境向上活動・生態系保全の実践活動の一環として実施されます。